冷え性の原因と症状、対策のまとめ
冷え性は、日本人の女性の66.6%、男性の43.2%(ニッセン2015年調べ引用元:日経goody http://gooday.nikkei.co.jp/atcl/report/14/091100031/072900078/)が自覚している症状です。
冷え性とは手足の末端や腰が冷えるという症状だけだと思いがちですが、冷え性が原因となる見た目の変化や症状、病気はたくさんあります。
この記事では冷え性の原因や症状を知ることで、あなたがどれくらい冷え性なのかをチェックして頂くとともに、冷え性の対策をご紹介しています。
冷え性は、不妊の大きな原因となりますので、妊活をされている方には是非知ってもらいたい内容です。
是非ご覧ください。
Contents
冷え性の原因とは?
冷え性は、読んで字のごとく冷えている状態です。では、何が冷えているのか?
大きな原因となるのは、体内を流れる血液の温度と細胞の代謝です。
その仕組みについて、詳しくご説明していきます。
冷え性が起こるメカニズム
私たちの体は、心臓から送りだされる血液が全身をくまなくまわることで、酸素や栄養といったそれぞれの細胞に必要な物質を送り届けています。また、細胞からでる老廃物も回収して心臓まで戻ってきます。静脈で回収できなかった老廃物はリンパ液が回収しています。
血液は心臓から送りだされる時点で最も温度が高くなっています。
心臓から出た後は、どんどんと血液の温度が低下し始めます。心臓から遠くなるほど血液は冷えていきますので、手足のような先端は最も温度が下がりやすくなります。
細胞内では、細胞が働くためのエネルギーであるATPを生産しています。
このエネルギー生産では酸素を燃やすため代謝熱が発生するのですが、その原料は血液によって運ばれてきます。血液循環が良くないと細胞は代謝熱を生み出すこともできなくなってしまい、さらに冷えが起こりやすくなります。
では、冷え性の原因となる血液とそれに関わる体の問題について詳しく見ていきましょう。
冷え性を起こす血液の問題
「サラサラ血」と「ドロドロ血」という言葉を聞いたことはあるでしょうか?
「サラサラ血」とは、血液の成分が正常で適切な量を保ち、お互いにくっつかないでバラバラになっている状態です。
「ドロドロ血」とは、血液の成分に異常が起こったり、増えすぎたりお互いにくっついてしまう状態です。具体的には、赤血球が多すぎる、赤血球が固くなって柔軟性が無くなる、血小板同志がくっついて塊になる、白血球が血管にこびりついて血管を狭くしてしまうなどです。
人間の血管は、全てが同じ大きさというわけではありません。
例えば、利根川という大きな川が大動脈といわれる太い血管で、そこからどんどん支流へと分かれていきます。一番細い血管は毛細血管と呼ばれ、小川のようなとても細い血管になります。
細い血管を「サラサラ血」はスムーズに通れますが、「ドロドロ血」になると通るまでに時間がかかったり、停滞してしまいます。
つまり、血液が「ドロドロ血」になると、血液の流れる速度が落ちてしまい、その間に血液の温度が低下してしまいます。ひどい場合は、血液成分が通らない状態になってしまい、栄養が細胞に届かなくなります。栄養が届かないと代謝がうまく行われず、代謝熱も低下します。これが、冷え性という状態を起こします。
血液成分が異常を起こす理由
水分不足:熱中症などで、体内の水分が減ってしまい(脱水症状)、赤血球が増加してしまいます。
糖尿病:赤血球が固くなってしまい、柔軟性が無くなります。赤血球は狭い血管を通れなくなります。
不摂生:飲酒やメタボ、水分不足などが原因で血小板同志がくっついて塊になります。
炎症反応:風邪などを引くと体内で炎症反応が起こります。細菌を捕まえやすくするために白血球は粘着性を高くするため、血管にもくっつきやすくなります。風邪を引いて顔色が蒼くなるのは、白血球が血管にくっつき血流の流れが悪くなるためです。
その他、ストレスや喫煙でも炎症反応がおこります。
筋肉の問題
血液を心臓から送り出すときに働くのは、心筋です。体の末端まで送られた血液を再び心臓に戻すときも、筋肉のポンプ機能が必要です。
特に、下半身の場合は重力に逆らって血液を心臓まで戻す必要がありますから、かなりの力が必要になります。。
そこで、重要になってくるのが第二の心臓といわれる、ふくらはぎの筋肉です。
ふくらはぎの筋力が弱い、またはふくらはぎが固いと、血液やリンパを動かす働きが低下するため、足がむくみやすかったり、疲労回復に時間がかかり、だるさを感じる、足がつりやすい、足のかゆみ、不快感、潰瘍(やけどのような状態)になることがあります。
ふくらはぎに柔軟性と筋力があれば、血液を送り返す働きも強くなり冷え性やむくみを軽減してくれます。散歩やストレッチ、運動などでふくらはぎを使うようにしてください。また、さすったりお風呂に入るなどして、ふくらはぎをほぐすようにしましょう。
冷え性が女性に多い理由
女性が男性と比べて冷え性が多い理由は、先ほど紹介した血液と筋肉の問題が関わってきます。
女性のほうがダイエットに熱心で食事制限をし過ぎたり、サラダといった生野菜を好む傾向があります。細胞に栄養が不足すれば、細胞の代謝が低下して代謝熱も低下します。また、生野菜は体を冷やす働きがあるため、食べ過ぎると体を冷やしてしまいます。
また、女性は男性よりも筋力が少なめですから、血液循環も滞りがちです。さらに、ミニスカートやへそ出しルックなど肌の露出が多い服を好む場合は、冷え性をさらに悪化させてしまいます。
細胞の代謝を上げるために、ビタミンなどの栄養を多く含む野菜や果物を食べたり、散歩やストレッチ、ランニングなど、筋力を増やす取り組みをして冷え性対策することをお勧めします。
高齢になると冷え性が増える理由
若い頃は冷え性でなくても、40代を過ぎたあたりから徐々に冷え性になる人が増えます。これは、筋力の低下や細胞の衰え、肥満が大きな原因です。散歩などで足の筋力低下を防ぐとともに、足の指もみやふくらはぎをさするなどして、筋肉のケアをしてください。また細胞の代謝を上げるために、ビタミンを多く含む野菜を多くとるようにしてください。
眠るときに体温が下がる理由
人間のような恒温動物は、眠るときに体温を下げます。その理由は、日中に活動して疲れた脳や体を休めるためです。眠るときに体温が下がるほうが、深い眠りにつけるというデータもあります(引用:テルモ,http://www.terumo-taion.jp/health/sleep/01.html)。
ところが冷え性になると、最初から体温が低下しているため、就寝時に体温が下がりすぎてしまいます。その結果、強く冷えを感じたり、足がむずむずする「むずむず脚症候群」を起こすきっかけにもなります。
冷え性で起こる見た目の変化と症状
冷え性は、手足といった末端だけで起こる症状ではなく、体の様々な場所でおこります。自分の体の状態を知ることは、健康を維持するためにはとても大事なことです。ここでは、冷え性体質に起こる見た目の変化と症状についてご紹介します。
見た目の反応
血流が悪いと起こる見た目の変化です。下記の状態が続いている場合、慢性的な冷え性だと考えられます。
あなたはどれだけ当てはまりますか?
- 目の下にクマができやすい
- 鼻水がでやすい(お酒を飲んだ後など)
- 耳が赤い
- 唇が紫色をしている
- 歯茎の色が暗い
- 顔色が悪い
今回ご紹介した見た目の変化は、その時の冷え性の度合いによって常に変動します。
例えば、毎日の体調チェック方法として自分の顔を毎朝鏡で確認してみると、その日の体調がわかります。いつも顔色が悪い方は、冷え性が慢性化しています。冒頭でご紹介した通り、慢性的な冷え性は万病の元となります。今は問題が無いように見えても、将来的に病気になるリスクは高くなりますから、冷え性対策を心がけるようにしましょう。
冷え性が原因で起こる症状
冷え性になると血流が悪くなるため、細胞に十分な酸素や栄養が届かなくなります。そうなると、細胞の代謝が低下して細胞がもつ機能も低下してきます。その結果、下記の症状や病気が出やすくなります。下記の症状や病気が多く当てはまる方は冷え性が進んでいますので、冷え性対策をお勧めします。
- 頭痛
- 肩こり
- 腰痛
- 胃腸の調子が悪い
- 不眠
- 更年期障害
- 花粉症・アレルギー
- 生活習慣病
- ガン
- 肌のトラブル
- のぼせる
- むくみ
- うつ
- 生理痛・生理不順
- 不妊
今回ご紹介した症状や病気は、冷え性とは直接関係ないと思われるかもしれませんが、体温が低いことは体全体の機能が低下していることを意味しますので、すべて関連があります。また、肉体面だけでなく脳の機能低下が起こることで「うつ病」といった精神面の不調も出やすくなります。
効果的な冷え性対策とは?
冷え性は、主に血液成分や筋肉の影響によって発生します。ですから、いかに血液成分を良い状態に保ち、柔軟性のある筋力を保つかがポイントになります。そのために必要なことは、日常生活をどう過ごすかにかかっています。
ここでは、血液成分や筋肉に影響を与える日常生活の様々な内容をご紹介していきます。
今回ご紹介する内容をできるだけ多く実践すると、冷え性を改善することにつながります。
衣類で気を付けること
普段何気なく身につけている衣服ですが、下着のように24時間肌に直接触れる場合、じわじわと影響が出てきます。最近、様々な素材の繊維が出てきましたが、服を着たときに体が固くなったり、頭痛や気分が悪くなったりしないか、意識して確認するようにしてください。
化学繊維の多い下着は避ける
人間の体は、私たちが意識するしないに関わらず、肌に触れる物に対して反応します。例えば、化学繊維の服を着て肌がかゆくなるのは、皮膚が炎症を起こすからです。
もちろん、化学繊維全部が悪いわけではありませんが、冷え性になりやすい方はストレスに耐える力も低下しているので、化学繊維に注意が必要です。特に、「冷える」「温かくなる」化学繊維を使用すると、人体の温度調節機能が乱れてしまうためお勧めできません。
腹部や腰部、下半身を冷やす服装を避ける
腹部や下半身を露出する服装をすることで、体は冷えます。特に夏場は、クーラーによって部屋の温度が低く、外気温が高いので冷房病になる可能性があります。室内では、汗をこまめにふく、一枚重ね着できる衣類を持ち歩くことをお勧めします。
締め付ける服を避ける
体を締め付ける服を着れば、締め付けられた部分やそこから体の末端部分の血行が悪くなります。特に眠るときは、体を締め付けないゆったりした服装を心がけましょう。運動などで締め付ける衣類や靴下をはく時は、着用時間をなるべく少なくすることを心がけましょう。
寝る時に足を締め付ける靴下をはかないようにする
眠るときに足元が冷えるからといって靴下をはく人がいます。しかし、靴下が足を締め付けてしまうと、血行は逆に悪くなります。どうしても靴下をはきたい場合は、ゆるい締め付けのない靴下をはくようにしてください。
お風呂で湯舟につかる
お風呂は簡単にできる冷え性対策です。全身をもれなく温めることができる湯舟になるべく毎日つかるようにしてください。温度が高すぎると体の表面だけが暖められてしまい、内部が温まりません。40℃くらいの少しぬるめのお湯に15分程度つかるようにしましょう。また、湯舟につかっている時にふくらはぎを軽くさすったり、足の指をもむこともお勧めです。
飲食物で気を付けること
食べ物や飲み物は毎日必ず摂取するものですから、冷え性への影響力はかなりあります。ここでは、体を冷やす恐れのある食習慣についてご紹介します。ご自分が冷え性になる食生活に陥っていないかチェックしてみましょう。
冷たい飲み物に気をつける
冷たい飲み物を飲み過ぎると、胃腸を冷やしてしまいます。特に、氷点下のビールなどは温度が低すぎるため、胃腸を傷めやすくなります。
お酒を飲む量に気をつける
お酒を飲むと血液の水分が減り、脱水症状が起こります。お酒を飲むと喉が渇くのはそのためです。お酒は夜飲むことが多いので、寝る時に血液が脱水症状を起こして流れが悪くなります。その結果冷え性になってしまいます。特に、お酒を飲んで寒気を感じる人は冷え性になりやすいので気を付けましょう。お酒は飲む楽しみは、ほどほどにすることをお勧めします。
寒い地方の飲食物をとる
熱帯のように暑い地方でとれる果物や植物は、基本的に体を冷やす作用があります。逆に寒い地方の果物や植物は体を温める働きがあります。これは自然の働きです。あなたの食生活を振り返った時に、アボガドのサラダやコーヒーなど熱い地方のものを食べたり、飲んでいませんか?
もし当てはまるのであれば、冷え性になりやすい食生活をしています。
体を温めるのであれば、コーヒーよりも寒い地方でとれる紅茶のほうがお勧めです。最近、南国の果物や野菜が流行っていますが、それらを食べるのは夏場だけにして冬場は割けるようにしてください。
土の下にできる野菜をとる
土の下にできるジャガイモやゴボウ、ニンジン、生姜といった植物は体を温める働きがあります。逆に土より上にできる白菜やキャベツ、ほうれんそう、なすなどは体を冷やす働きがあります。
夏野菜を取りすぎない
季節的に夏にとれるトマトやキュウリといった野菜は、体を冷やす働きがありますので、サラダだけでなく鍋物に入れても体を冷やす傾向があります。冬でもトマトなどを食べられますが、秋や冬に食べると体を冷やしますので注意しましょう。
旬の野菜を食べる
旬の野菜は、その時期に食べると体に良い食べ物がほとんどです。また、旬の野菜には栄養が豊富に含まれています。夏場に冬の野菜を食べることはそれほど影響はありませんが、冬場に体を冷やす夏の野菜を食べないように気を付けましょう。
暖色系の野菜をとる
野菜を色で見た場合、暖色系(赤やオレンジ、肌色)といった野菜は体を温める働きがあり、青色系の野菜は体を冷やす働きがあります。ただし、トマトは暖色系ですが産地が南米で暑い地方のため、体を冷やします。
サラダを食べ過ぎない
女性は生野菜を好みますが、加熱しない野菜は体を冷やす働きがあります。特に夕食時や冬にサラダを食べ過ぎると、寝る時に体が冷えやすいので注意しましょう。
添加物が多い食事を減らす
いわゆる化学物質を多く含む食事をすると、それらを解毒するために肝臓の負担はもとより胃腸にも大きな負担がかかります。また、腸内で炎症が起こりやすくなり、腸内細菌のバランスが悪くなったり、細胞の栄養が足りなくなる、老廃物が多く発生して血液やリンパの流れが悪くなる、腸から皮膚への栄養がうまく届かずに肌が荒れたりします。
もちろん、添加物の全てが悪いわけではありませんが、詳しい知識がない場合はなるべく添加物をとらないように心掛けたほうが良いでしょう。レストランなどで食事する際は、そのお店で実際に調理するところを選ぶほうが良いでしょう。
住環境で気をつけたいこと
住環境に潜む体を冷やす原因は、様々なところに潜んでいます。良かれと思って行っている習慣の中にも、体を冷やす原因になることがあります。関連記事もご紹介していますので、ご興味があればご覧ください。
消臭スプレーを多用しない
消臭スプレーの成分によっては、不妊や体調不良の原因が指摘されているものがあります。
詳しくは、下記の記事をご覧ください。
薬用・殺菌・抗菌石鹸などに気を付ける
今まで抗菌・殺菌用として使われていた成分が、アメリカなどで行われた大規模な調査によって全く効果がなく、むしろ有害であることがわかってきました。厚生労働省から通達が出たためメーカーは順次成分を変更しているようですが、まだ変更されていない製品もあります。
詳しくは、次の記事をご覧ください。
コンクリートよりも木造住宅に住む
コンクリート住宅の場合、コンクリートにより熱を奪われる影響(冷輻射)を受けます。高層階ほど外気温も下がるため、コンクリートの温度が下がりやすく熱を奪われやすくなります。
コンクリート住宅の対策としては、部屋全体をなるべく木材で覆うようにしてコンクリートに熱を奪われないようにすることです。
なるべく低層階に住む
地上から6階以上の高さに住むと、33歳以上の妊婦さんは流産率が飛躍的に高くなり40%以上に達するというデータがあります(「居住環境の妊婦に及ぼす影響について」:東海大学医学部地域保険学 逢坂文夫,https://www.niph.go.jp/wadai/mhlw/1994/h061004.pdf)。その他にも、高血圧や冷え性、めまい、アレルギー性疾患が増加するとの報告もあります(コワーい高層マンションの話:著作 逢坂文夫より引用)。
冷たくなる、温かくなる化学繊維の衣類・布団をさける
機能性下着を使用することで、肌に湿疹や炎症が起こる(ヒートテック皮膚炎)や乾燥肌になる、疲れがとれないといった被害を訴える人が増えています。冷え性になる人は、皮膚が敏感な人も多いため、こういった衣類や布団の使用を控えることをお勧めします。
登山メーカーが出している天然繊維(モンベルのメリノウールなど)は、体への負担が少なく敏感な人であっても使えるようです。
エアコンの温度に注意する
エアコンの温度と外気温の差が大きいと、私たちの体には負荷がかかり血行不良などが起こりやすくなります。また、夏場のエアコン温度が低いと足元が冷えやすくなります。環境省が推奨している温度は
夏のエアコン:28℃
冬のエアコン:20℃
です。
扇風機やサーキュレーターと併用することもお勧めします。
クーラーや扇風機の直風を体に当てない
体にクーラーや扇風機の直風を当て続けると、自分が思っているよりも風によって体温が奪われます。特に、寝る時は体温が下がりますので、直風を当て続けてしまうと最悪死亡する場合もありますので注意してください。
寝る時に電気カーペットを使わない
電気カーペットを寝ている時に使うと、汗をかきすぎる発汗過多となり体の熱がどんどん逃げてしまいます。体がどんどん冷えてしまうので、寝る時に電気カーペットの使用は控えましょう。
どうしても寒い場合は、寝る前に電気カーペットで布団を温めておき、寝る時にスイッチを切るようにしましょう。
まとめ
冷え性は万病の元といわれるように、様々な病気を引き起こす原因となります。
今回ご紹介した衣食住の気を付けたいことを参考に、現在の生活習慣や住環境を見直してみることをお勧めします。どれか一つでも改善することで、冷え性の対策となります。将来の病気を予防するためにも、是非取り組んでくださいね。
冷え性の場合、ひどい肩こりになる場合もあります。
ひどい肩こりでお悩みの方は下記の記事もご覧ください。