冬だけでなく夏も注意!脳卒中・脳梗塞を発症前に早期発見。前兆と症状のまとめ
あなたや家族にいつ起こってもおかしくない、脳梗塞と脳卒中。
冬に多いと思われがちな症状ですが、脳梗塞は夏に多い症状です。
もし
「年齢が若いから、私に関係ない。」
と思っているのでしたら、それは大きな間違いです。
全体的に見れば脳卒中による死亡数は減少していますが、20代からの若年性脳卒中は増加傾向にあります。
脳梗塞や脳卒中は、本人だけで症状を判断することが難しい場合もあります。
家族が早く気づいて処置を受ければ、発症を抑えたり、後遺症リスクを下げることもできます。
是非、脳梗塞、脳卒中の前兆やチェック方法を学んで、予防に役立ててください。
脳梗塞とは?
脳梗塞とは、脳の血管が詰まって起きる脳血管疾患の一種です。
脳の血管が詰まると、その先の脳組織に酸素や栄養が送ることができず、組織が壊死、または壊死に近い状態になります。
その結果、壊死した脳組織が行っていた活動が停止してしまい、麻痺や言語障害といった障害が残ります。最悪の場合、死亡してしまいます。
脳梗塞は、日本人の死因第4位の「脳血管障害(脳卒中)」の一つで、介護が必要になる原因の第1位です。脳卒中発症者の7~8割を占めるといわれ、年間20~30万人に達する発症者数がいると言われています。
また、脳梗塞を含めた脳血管疾患を脳卒中と総称しています。脳卒中には、脳梗塞の他、脳の血管が切れて出血する脳出血、くも膜下出血があります。
脳梗塞の種類
脳の血管の詰まり方には、3種類あります。
- ラクナ梗塞
- アテローム血栓症脳梗塞
- 心原性脳梗塞
ラクナ梗塞
比較的細い動脈(15mm未満)が高血圧でダメージを受けながら、長期間破れずに経過すると起こる梗塞です。日本人に一番多いタイプです。
小さい梗塞のため、無症状のこともあり無症候性脳梗塞と呼ばれることもあります。
高齢者に多く、意識がなくなることはなくゆっくりと進行するため、夜間や早朝に発症し、朝起きたら手足がしびれたり、言葉が話しにくいという症状で気づくことも多いようです。
アテローム血栓症脳梗塞
脳動脈や頸動脈といった太い動脈が硬化(アテローム硬化)して起こる脳梗塞です。
血管の中でコレステロールがおかゆの固まったように見える状態になるため、粥状硬化(じゅくじょうこうか)とも言われます。
欧米人に多いタイプですが、最近は日本人も増加傾向にあります。
心原性脳梗塞
心臓や頸動脈といった太い血管内でできた血栓(血の塊)が、ある日血流にのって脳まで運ばれ脳の血管を詰まらせてしまうものです。
症状が強いことが多いので、死亡するリスクも高くなります。
正常な心臓であれば血栓はできませんが、
- 心房細動
- リウマチ性心臓弁膜症
- 心筋梗塞
- 心筋症
夏に多い脳梗塞
厚労省研究所の調査によると、脳梗塞は夏が一番多いことが示されました。逆に脳梗塞以外の脳卒中(脳出血、くも膜下出血)は、冬に多いことが知られています。
夏に脳梗塞が多くなる理由は、血栓は脱水時にできるため、発汗して水分が失われがちになるからです。
具体的には
発汗して脱水する→血液水分の不足→血液がドロドロになる→血の塊(血栓)ができやすくなる。
という流れとなります。
また、夏は体の熱を放出しようとして末梢血管が拡張し、血圧は低くなります。健康な人であれば脳の調整機能が働き、脳の血流をよい状態に維持します。しかし、生理機能が低下している高齢者や降圧剤などを服用している人の場合、血圧が下がったままとなり、脳の血流が悪く、血栓ができやすくなります。
そこで、脳梗塞予防につながる夏の効果的な水分補給の方法について解説していきます。
夏の効果的な水分補給3つのパターン
ここでは、夏に多い脳梗塞を予防するために、どういった水分補給を行えば良いかについて解説していきます。
汗をかく前の早めの水分補給
夏の水分補給について多くの人が勘違いしているのは、
「汗をかいてから水分を補給すれば良い。」
というものです。
水分を補給しても、体全体に浸透するまで15~20分程度かかります。
ですから、水分補給してすぐに血流の流れが改善するわけではありません。
汗をかいていなくても、こまめに早めの水分補給を心がけましょう。
外出やスポーツで汗を大量に書く場合は、水よりもミネラル分が含まれた経口補水液やスポーツドリンクなどが適しています。
エアコンとアルコールの脱水に注意
エアコンは室内温度を下げてくれますが、同時に室内を乾燥させます。このため、汗をかいていなくても、少しずつ体から水分が奪われていきます。のどが渇いていなくても、お茶などで水分補給をこまめにしてください。
なかなか水分不足に気づきにくいのですが、トイレに行った時に尿の色が濃くなっていたら、水分が不足しているサインですので、水分補給をしてください。
また、夏になると冷えたビールなどアルコールを飲む機会も増えます。アルコールをたくさん飲んでいると水分を補給している気分になりますが、実際には逆です。
アルコールには利尿作用があるため、飲んだ量以上に尿として水分が排出されてしまうことがほとんどです。
ですから、アルコールを飲むときは、飲み過ぎに注意することはもちろんのこと、最後に水を1~2杯飲んで水分補給する習慣をつけるようにしましょう。
睡眠前後にも水分補給
私たちは、眠っている間に平均コップ1杯(200㏄)の汗をかきます。真夏の熱帯夜になると、さらに汗をかきます。
また、眠っている時は血圧は低下して、血流の流れも遅くなっていますので、血栓ができやすい状態です。それに加えて起床する前後は、血圧上昇とアドレナリンが分泌され、血液が固まりやすい状態となります。
こういった脳梗塞になりやすい条件が重なるため、夏の脳梗塞は睡眠時から起床後の時間帯に発症のリスクが高まります。
ですから、寝る前にはコップ1杯(200cc)のお水を飲むようにしましょう。
「夜におしっこで起きたくない。」
と中高年の中には水分補給を嫌がる人もいますが、脳梗塞リスクが高くなりますので、水分はしっかりと補給しておきましょう。
枕元にお水を置いておき、夜トイレに立った後、少しでも水を飲むと睡眠中に汗で失った水分の補給になります。
朝起きたときに、水を1杯飲むことも、夏の脳梗塞予防につながります。血圧が高い人や、動脈硬化の疑いがある人は、水分補給を特に心がけてください。
脳梗塞の前兆とチェック方法
脳梗塞の前触れとして、一過性脳虚血発作(TIA)がよく知られています。脳梗塞は脱水症状が起こると発症リスクが高まるため、典型的な脱水症状が起こりやすい泥酔時のサインについても紹介します。
TIA(一過性脳虚血発作)
一時的に脳梗塞が起こった状態になり、症状が普通は5-15分以内、長くても24時間以内に治ってしまう発作です。発作が起こった後、48時間以内に5%、3ヶ月以内に4-20%が脳梗塞を発症するため、この症状が起こったら病院での処置をお勧めします。
主な症状としては、
- 顔がゆがむ(片側顔面麻痺)
- 体の半身(顔もふくむ)がしびれる(片麻痺)
- ろれつが回らなくなる(構音障害)
- 言葉が出なくなる(失語症)
- 相手のいうことを理解できない(全失語)
- 片目が見えなくなる(一過性黒内障)
- 視野の半分が見えなくなる(視覚障害)
- 食べ物が一時的に飲みこめなくなる(嚥下障害)
といったものがあります。
脳梗塞のチェック方法
FAST
アメリカ脳卒中協会では、脳卒中が疑われる人がいたら、3つのテストをするように勧めています。FASTとは、F=Face(顔)、A=Arms(腕)、S=Speech(話し方)、T=Time(時間)の頭文字をとったものです。
A=Arms(腕):両手の平を上にむけて、まっすぐに肩の位置まで両手を上げて目をつむります。どちらかの手が下がってきたら疑いあり。
S=Speech(話し方):短い文章「太郎が花子にりんごをあげた」などを、うまく言えなかったり、おかしな言葉を言っていたら疑いあり。
T=Time(時間):脳梗塞は発症2時間以内に病院に行けば、脳梗塞初期に行う「血栓溶解療法」(発症から3時間以内)ができます。FASのどれか一つが当てはまれば、すぐに救急車を呼ぶ。
泥酔時のサイン
泥酔時の行動は、脳梗塞に非常によく似ています。もし、お酒を飲み過ぎて脱水症状になり、脳梗塞のサインが出ていたとしても見過ごしてしまい、脳梗塞の発見が遅れてしまうという危険があります。
救急車を呼ぶべきかを判断する上で、脳梗塞の前兆に特徴的な3パターンをご紹介します。
泥酔している時に、おかしいなと思ったら、下記のパターンをチェックしてみてください。
- 顔のゆがみ
- 両腕をあげようとしても、片腕があがらない
- 口の動きがおかしい
です。
顔のゆがみ
脳梗塞が起こると、体の半身に麻痺が起こるため、麻痺の起こった側がたるんでしまい、顔がゆがんだようになります。
両腕をあげようとしても、片腕があがらない
両腕をあげるような動作、例えばお茶碗をもってご飯を食べる、コップの水を飲むといった動作をしようとした時に、片腕に力が入らずたれ下がった状態になると危険です。
口の動きがおかしい
脳が詰まると、口や喉の奥の筋肉が麻痺することがあります。ろれつが回らず、何を言っているかわからない話し方、水を飲もうとしても口から水があふれる、といった症状があると、危険です。
脳ドック
脳ドックとは、脳の病気を未然に発見するために1980年代の後半にスタートしました。
検査は、MRIやMRA、マルチスライスCTといった画像検査です。さらに、血液検査や尿検査、心電図、頚部超音波などが行なわれます。検査自体に苦痛はありません。
これらの検査で発見できる症状は、自覚症状のない脳梗塞(無症候性脳梗塞)や未破裂動脈瘤、脳腫瘍、脳動脈奇形、もやもや病、認知症など多岐にわたります。
最も効果を発揮するのは、未破裂脳動脈瘤の早期発見です。脳動脈瘤が破裂するとくも膜下出血を起こすリスクがとても高いのですが、破裂するまではほとんど自覚症状がなく、脳ドックによる発見が現状唯一の手段となっています。
若者にも起こる脳卒中
脳卒中は高齢者の病気だと思っていませんか?
最近、急速に若者世代、特に低所得、中所得者の多い国で増加しています。
こういった国々での脳卒中の死亡率は、平均所得の高い国に比べると42%高く、死亡しないまでも、脳卒中を発症する人の数は46%多いそうです。
全体的に見ると、脳卒中による死亡者数は減少傾向ですが、20歳から64歳の間に脳卒中にかかる人の数は、この20年の間に25%増加しているそうです(オークランド工科大学調べ)
若年性脳卒中の特徴
若年性の脳卒中になるリスクは、偏った食事による高血圧や肥満、運動不足、喫煙といった、不摂生な生活習慣にあります。
これらが原因となり、動脈硬化が引き起こされるリスクが高まります。
しかし、若年性の脳卒中では、不規則な生活だけでは説明がつかないものもあります。
電磁波で脳に悪影響!?
以前から携帯電話による脳への悪影響が指摘されています。
電磁波にはたくさんの種類があり、自然界にも電磁波は存在します。
では、どうして携帯電話の電磁波だけが問題視されるのでしょうか?
それは、携帯電話の電磁波の周波数帯が、電子レンジと同じ周波数だからです(下図3GHz部分)。
WHO(世界保健機関)の2011年時点での公式見解では
「WHOのIARC(国際がん研究機関)は、携帯電話の電磁波と発がん性の関連について、限定的ながら「可能性がある」とする分析結果を発表した。携帯電話を耳にあてて長時間通話を続けると、「脳などの癌を発症する危険性が上がる可能性がある (Group 2B)」とし、癌を発症する危険性を上げないための予防策としては、マイク付イヤホンを使用することを挙げた。」
とあります。
携帯電話によって、脳細胞がガン化するほどストレスにさらされるかどうかは、まだまだ調査する必要がありそうです。
しかし、脳細胞へのダメージが蓄積されることで脳の血管が弱り、脳卒中の可能性が起こるのではないかと予想することはそれほど的外れでもないと思います。
実際に、iphone4の説明書には
といった説明が記載されています。
携帯電話は体に身につけることで、影響は拡大します。
携帯電話を使用しないときは、体から離して持ち運んだほうが良さそうです。
スポーツで脳卒中?
若い人の中には、運動中に脳卒中になる事例もあるようです。
事例としては、大阪の女子中学生がバトミントンの部活動中に、脱水症状から脳梗塞を発症して左半身に麻痺が残った事例があります。
また、スポーツや交通事故による首ひねりが原因で脳動脈かい離になることが多いようです。
首をひねったり、首をポキポキと鳴らすだけでも引き起こされることがあるそうですので、首を鳴らす癖のある人は注意が必要です。
このように原因不明の脳卒中もありますが、まずは規則正しい生活習慣と野菜や果物を取り入れた食習慣を心掛けたいものです。
脳卒中のリスクがあがる要因
脳梗塞のリスクが上がる流産・死産
デンマークRanthe氏らは、1977-2008年に心筋梗塞、脳梗塞、腎血管性高血圧症の発症率と、流産・死産の関係性について調査しました。
その結果、脳梗塞リスクが、流産経験のある女性は通常の1.16倍、死産経験がある女性の場合は通常の1.74倍となることがわかりました。
特に35歳未満の若い女性に多くみられるようです。
詳しい結果は下記となります。
①死産の経験がある女性
脳梗塞:1.74倍
心筋梗塞:2.69倍
腎血管性高血圧症:2.42倍
②流産の経験がある女性
脳梗塞:1.16倍
心筋梗塞:1.13倍
腎血管性高血圧症:1.20倍
③流産が1回増えるごとの増加率
脳梗塞:13%
心筋梗塞:9%
腎血管性高血圧症:19%
中年女性に多いうつ病からの脳卒中
うつ病患者は脳卒中になりやすい。多くの研究で指摘されてきましたが、オーストラリア・クイーンズランド大学集団保健学部のCaroline Jackson博士らは、うつ病によって脳卒中になるリスクが1.94倍に増加する(中年女性1万人を12年間追跡調査)という研究結果を米医学誌「Stroke」http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23686976に発表した。
2011年9月にアメリカハーバード大学の研究グループが28件の論文を解析して報告した結果(1.45倍)を上回る増加率でした。
Jackson博士らの研究対象の参加者47~52歳1万547人のうち、対象者の約24%がうつ病と評価され、1998年から2010年までの研究期間中に177人が脳卒中にかかった。
ただし、中年女性が脳卒中になる人数は高齢者に比べるとかなり少ないため、うつ病による脳卒中リスクが2倍近くになったとしても、それほど脳卒中になる人が増えるわけではありません。
まとめ
脳卒中は突然発症して、死亡あるいは麻痺や言語障害といった大きな障害が残る可能性のある病気です。また、高齢者だけがかかる病気ではなく、最近では若い年齢の発症者数が増加傾向にあります。
特に、夏は脱水症状による脳梗塞リスクが高まる時期でもあります。
是非、本文中の水分補給方法を参考にして、予防に努めてください。
日本脳卒中学会が提唱している脳卒中予防十か条も覚えてくださいね。
2 糖尿病 放っておいたら 悔い残る
3 不整脈 見つかり次第 すぐ受診
4 予防には タバコを止める 意志を持て
5 アルコール 控えめは薬 過ぎれば毒
6 高すぎる コレステロールも 見逃すな
7 お食事の 塩分・脂肪 控えめに
8 体力に 合った運動 続けよう
9 万病の 引き金になる 太りすぎ
10 脳卒中 起きたらすぐに 病院へ
日本脳卒中学会
脳梗塞の一番の原因は、脱水などで血液がドロドロになることです。
食生活や生活習慣の改善で、血液がサラサラになってくれれば良いのですが、現実にはそれだけで良くならない方もいます。
そういった方は、さらにプラスアルファで血液の改善への取り組みをしたほうが良いです。
実は、自分で行うセルフケアで、ドロドロ血液を改善できる方法があります。
よろしければ、下記をご覧ください。