不妊症を改善するために、見直すべき生活習慣と日用品
不妊症を改善するために、評判のよい方法を試すことは良いことです。
でも、試した方法で妊娠する人と、しない人が出てきます。
そういった違いは、どうして出てくると思いますか?
年齢や体質といった問題もありますが、実は何気なく行っている生活習慣や日用品の違いによって体へのダメージがじわじわと蓄積している場合があります。
そういったものが足を引っ張っていては、いくら良い方法を試したとしても結果が出にくくなるのは当然です。
この記事では、多くの方が見落としがちな不妊症を促進する可能性の高い生活習慣や日用品について、海外の最新データなども取り入れながらご紹介していきます。
不妊症の方は、ご自分の生活に当てはまるところがないかチェックして、できるところは見直してみてください。
Contents
妊娠しやすい体の状態とは?
「毎日、仕事でへとへと。ストレスで睡眠も浅い。たまの休みは寝てばかり。」
あなたは、こういった状態になっていないでしょうか?
体が疲れた状態になると、免疫力や体の機能が低下してしまいます。
つまり、自分が生きることだけに精一杯の状態になってしまい、妊娠するための機能まで手が回らない、いわゆる老化した状態に陥りやすくなります。
もちろん、年齢によっても老化は進みますが、生活スタイルや生活習慣を見直すことで老化を遅らせることはできます。
妊娠しやすい状態になるためには、男女ともに元気な状態を目指すことが重要になります。
妊活をされるのであれば、まずは毎日の睡眠時間や食生活、ストレスを発散するための趣味やスポーツなど、基本的なことを見直すようにしましょう。
気を付けたい生活習慣
お酒を飲む量と回数を見直す
もし、あなたが毎日お酒を飲むのであれば、妊活をしている期間は飲む量と回数を減らすことを考えてください。
お酒を飲む回数や量が多いと、男女共通で
- 体温低下
が起こります。体温低下は、人間の身体機能全体を低下させてしまうため、不妊症になりやすくなります。
また、男性であれば
- 精子を作る機能が低下(造精機能低下)
- 男性ホルモンが低下
により、精子の数や運動能力が低下します。
女性の場合
- 生理不順
- 排卵障害
- 受胎能力の低下
が起こります。
女性の場合は飲酒量の目安として、1週間でワインやスピリッツ5杯以上で妊娠の確率が45%以上低下するという報告があります。ビール中瓶に換算すると4本、日本酒では4合に相当する飲酒量です。
文献は下記をご覧ください。
Does moderate alcohol consumption affect fertility? Follow up study among couples planning first pregnancy
標準的なアルコール飲酒は不妊に影響するのか?第一子妊娠を計画しているカップルの追跡調査
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC28642/
喫煙による影響
タバコを吸うことや副流煙(タバコを吸わなくても、周りのタバコの煙を吸うこと)で、不妊に影響する5つのリスクが報告されています。
- 排卵への悪影響
- 遺伝的な問題
- 生殖器官の損傷リスク
- 卵子の損傷や、早く閉経するリスク
- 癌と流産リスクの増加
植物であるたばこの葉そのものが悪いかどうかはわかりませんが、たばこの葉を育てる過程で農薬が使用され、フィルターや紙は薬品処理されているため、化学物質を燃やしていることになり、7000種類の化学物質が体中に広がることになると言われています。
詳しくは下記記事と、記事下にある参考文献をご覧ください。
5 Facts About Smoking and Infertility
喫煙と不妊に関する5つの事実
http://attainfertility.com/article/smoking-infertility
日用品の安全性を見直す
私たちが使う日用品は、安全性について新しい発見があるたびに、今まで使用していた成分が使用禁止になることがあります。
日本の場合はこういった規制がかかるまでに、常にEUやアメリカよりも数年から10年単位で遅れていると言われています。
すでにEUやアメリカで禁止になった成分を日本人が使っても大丈夫と言うことにはなりません。是非チェックしてください。
除菌や抗菌、薬用製品をチェック
あなたは、EUやアメリカで殺菌剤を含んだ石鹸などの販売が禁止されたことをご存知でしょうか?
アメリカ食品医薬品局FDAは、殺菌剤19種類を含んだ抗菌せっけんなどの販売を禁止しました。
「FDA医薬品部のジャネット・ウッドコック(Janet Woodcock)氏は、「抗菌せっけんには細菌増殖を防ぐ効果があると消費者は考えているかも知れないが、通常のせっけんと水で洗うよりも有効であることを裏付ける科学的根拠はない」と明言した。その上で「殺菌剤が長期的には益より害になる可能性を示したデータもある」と説明した。」
(AFP通信 http://www.afpbb.com/articles/-/3099720?cx_part=txt_topstory)
殺菌剤は、トリクロサンやトリクロカルバンをはじめとする殺菌、消毒などに使われる成分です。
日本でもこれらの成分が、除菌や抗菌、薬用と名の付く石鹸、シャンプー、リンス、歯磨き粉、ウェットシート、洗剤などに使われています。
最近の研究で明らかになっているのは、
- 感染症のリスク増加
- 腸内細菌叢の変化と免疫力低下
- 抗生物質耐性菌の増殖
- 環境汚染
といった内容です。
詳しい内容は、下記の記事をご覧ください。
こういった製品を良かれと思って使っている方も多いかと思いますが、体の機能低下を招き不妊症につながる恐れがあるため、使用をやめるか、一日の使用回数や量を減らすことをお勧めします。
※日本の厚生労働省は、アメリカで殺菌剤19種類が販売禁止になったことを踏まえ、製造メーカーにトリクロサンを含む薬用せっけんの切り替えを促す通達を出しました。
厚生労働省「トリクロサン等を含む薬用石けんの切替えを促します」
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000138223.html
〇〇で洗おうは危険
「家の臭いが気になるけど、洗えないからファブリーズを使っている。」
そういった方もいると思います。
ただ、ファブリーズの除菌成分として使用されているQUAT(4級アンモニウム塩)という成分が、不妊症に関わっている可能性があります。
現在、国内外でマウスを使った実験結果が報告されていますが
- 赤ちゃんマウスの死亡率上昇
- 精子異常と卵巣異常
- 肝臓の機能障害
- 妊娠率の低下(60%から10%に低下)
といったデータがあります。
ファブリーズは、スプレーで霧状に散布します。飛び散った成分が空気中に溶け込む、あるいは吹き付けた製品から除菌成分が空気中に出てきます。それを知らないうちに吸い込み続けることで、様々な影響が出てくる可能性があります。
例えば、ファブリーズに含まれる除菌成分を15回吹き付けた量を直接吸い込んでしまうと、安全摂取量といわれる基準値を超えるという計算もあります。
特にペットのいる家庭で、臭いが気になるからとソファやカーペットなどにファブリーズを使い続けると、QUAT(4級アンモニウム塩)が常に一定以上の濃度に保たれてしまうため、ペットが肝機能障害を起こすリスクが上がることになります。
データとしてまとまったものはありませんが、犬や猫の肝機能障害で獣医さんに行くと、ファブリーズを使っていないか聞かれることもあるそうです。
また、ファブリーズを
- 枕
- ベッド
- ソファ
- カーペット
- 服
といった身近にある製品に吹き付け続けると、空気中に漂うQUAT(4級アンモニウム塩)を吸い込み続けるため、安全摂取量を超える可能性は高くなります。
最近、車のエアコンに取り付けるファブリーズが販売されていますが、車の中は閉め切られて空気がこもることが多いため、QUAT(4級アンモニウム塩)の車内濃度は簡単に上がります。こういったリスクを考えると、車用ファブリーズは使用しないほうが良いと考えられます。
4級アンモニウム塩を使用した製品は、ファブリーズの他にも柔軟剤に使われることがあり、
(画像:マイレピhttps://www.myrepi.com/)
(画像:マイレピhttps://www.myrepi.com/)
に含まれていますので、柔軟剤などを選ぶ際も成分に注意してください。
レノアの除菌成分は下記をご覧ください。
詳しい記事は、下記をご覧ください。
電気製品との距離に気を付ける
電気製品は、日常生活を便利にしてくれるものですが、安全性について危険性を指摘される場合があります。
携帯電話との距離を保つ
携帯電話の電磁波については以前から発がん性があるといった指摘がされていますが、データとしては限定的です。
ところが、生殖異常について明確に指摘しているデータがいくつもあります。
・1日1時間以上充電器を使用しながら電話をすると、精子濃度が低下する
・鼠蹊部から50㎝以内で携帯電話を持ち運ぶ(ポケットなどに入れる)ことで、精子数や質が低下する。
どうやら、充電しながら使用することがリスクにつながるようです。
そうなると、枕元で充電しながら寝る行為もリスクがあると考えたほうが良さそうです。
不妊症というと、女性というイメージが先行しがちですが、男性側が原因となる不妊は48%程度(WHO世界保健機関データ)と言われており、男性側が一定の精子数と質を保つことは妊娠する上でとても重要です。
携帯電話の取り扱いについては女性の場合も同様で、充電しながらの通話や鼠蹊部から50㎝以内での携帯電話の持ち運びはやめたほうがよさそうです。
現実的には、
・かばんに携帯を入れて身につけない。
・寝る時に枕元などで携帯電話を充電せず、離れた場所に置く。
といったことを心がけたほうが良さそうです。
文献は下記をご覧ください。
Habits of cell phone usage and sperm quality – does it warrant attention?
携帯電話の使用習慣と精子の質、それらは注目に値するのか?
・充電をしながら1日1時間以上の通話は、精液濃度の低下と高い関連性あり
・鼠蹊部から50㎝以内に携帯電話を持ち歩いた場合、精液濃度低下には関係ないが、精液の質が低下
http://www.rbmojournal.com/article/S1472-6483%2815%2900300-4/abstract
Technion finds ‘clear’ link between cellphone use and low sperm count
テクニオンは、携帯電話の使用と精子数の減少との関連を明確に発見。
・充電しながらの携帯電話での通話と鼠蹊部から50㎝以内で携帯電話を持ち運ぶことは、精子の状態にダメージを与える。
・鼠蹊部から50㎝以内で携帯電話を持ち運ぶ47.1%の男性は、一般男性11.1%の精液と比べて精子のレベルが低下する。
http://www.geektime.com/2016/02/03/technion-finds-clear-link-between-cellphone-use-and-low-sperm-count/
IH調理器との距離
IH調理器の電磁波の影響については、どこかで耳にしたことがあると思います。
また、製品にはどれくらいの電磁波を出すかを計測して表示している場合もあり、安全性をアピールしています。
しかし、IH調理器から電磁波が出ることは間違いありませんし、調理中は下腹部との距離がとても近くなります。調理中の距離は、限りなく0に近いと思います。
基本的には、ガスコンロを使ったほうが燃焼効率も良く、お料理もおいしく作れます。
IH料理器ではなくガスを使用する部屋に住んだほうが、電磁波のリスクを低減することができると思います。
火事の防止にIH調理器というお話もありますが、それは高齢者が考えたほうがよい問題であり、これから妊娠しようとする若い世代の話ではありません。
すでにIHの部屋に住んでいる場合は、下腹部に電磁波を防止するエプロンなどをつけたほうがリスクを下げることができると思います。
また、電磁波の影響は距離に比例しますから、おおむね1m離れると影響はかなり軽減します。例えば、電子レンジで調理している時は、電子レンジから1m程度離れて下さい。
電磁波過敏症
日本では、化学物質過敏症が病気として認定されていますが、電磁波過敏症については北里大学など、一部で指摘されるだけにとどまっています。しかし、海外に目を向けるとスウェーデンやデンマークではすでに認知が進み、公的保険の対象となっています。
具体的におこる症状として、頭痛、吐き気、めまい、心臓動悸、不眠症、慢性疲労、倦怠感、集中力の低下、皮膚の痛みといった症状が報告されています。
今、体に症状が無い場合は自分に関係が無いと思いがちですが、花粉症のようにある時突然症状が表れるのが特徴です。
こういった症状を完全に防ぐ手立ては今のところなく、基本的には電気製品との距離を適度にとることがよいとされています。
このように、電気製品が身の周りにどんどんと増えてきていますが、不妊症を改善する上ではある程度電気製品から距離をとったほうが良さそうです。
住居の高さを考える
日本では、高層マンションが次々と建設されています。眺望の良い高層階ほど値段も上がっていきます。
ところが、高層マンションの問題について20年以上研究している東海大学医学部 逢坂文夫講師の研究によると、高層階に妊婦が住むことはリスクが伴うようです。
・28歳から32歳の妊娠した女性の居住する階が
1階から2階 流産率 10.2%
3階から5階 流産率 9%
6階から10階 流産率 17.6%
10階以上 流産率 21.1%
・32歳以上の妊娠した女性が
1階から2階 流産率 22.4%
3階から5階 流産率 21.1%
6階から10階 流産率 38.1%
10階以上 流産率 66.7%
ちなみに27歳以下では、どの高さに住んでいても流産率は5%程度です。
発表データ:2010年「日本臨床環境医学界学術集会」発表資料
資料は、MyNewsJapanの会員限定で閲覧ができます。下記リンク先参照。
http://www.mynewsjapan.com/reports/1348
不妊症で妊活をする方は、年齢的には30歳を超えることが多いため、例え妊娠したとしても、高層階に住んでいると流産率があがってしまいます。
また、
10階以上の高層階では
幼稚園児の起床時の体温が36℃以下になる低体温が増加
5階以上の高層階では、
小学生のぜい鳴、ぜんそく、アレルギー性鼻炎が増加
するというデータもあります。
週間女性(逢坂講師によるデータ)
http://www.jprime.jp/articles/-/4706
このように、6階よりも高層階に住むことは、28歳以上の人にとって流産率の増加や、生まれた子供の健康を損ねるリスクがあがるため、できるだけ5階までの高さに居住することをお勧めします。
まとめ
この記事でご紹介した生活習慣や日用品などで、あなたはいくつチェック項目が見つかったでしょうか?
当たり前ですが、妊娠できる体を作るには、まず自分たちが元気な状態にならなければいけません。
体に余裕があってこそ、妊娠という新しい命を授かる行為ができるようになります。
妊娠して元気な赤ちゃんを望むのであれば、なるべく5階より下の低層階に住み、殺菌剤などを含む製品の使用を控え、携帯電話をなるべくカバンに入れて持ち運ぶ、そして寝る時に近くに置かない。
こういったことをできだけ行ったうえで、不妊治療に取り組んだほうが良いと思います。
不妊治療でポイントになってくるのは、ミトコンドリアという体の活性化です。
ミトコンドリアの働きや、活性化するための具体的な方法は下記ページをご覧ください。